吸血鬼のゲーム・9

「3日目・3」

3日目の夜、犯人を見つけたローラが暗闇の中、走り出した。

ダニエル

ジョン、すまないが、私は自分の部屋に戻る。

え?何でだよ。ローラを追いかけないと見失うぞ。

ジョン

ダニエル

お前も来い。


ダニエル

犯人は君か。

え?

ジョン

マックス

!・・・ダニエル卿。

何をやっているんだ?

ジョン

ダニエル

私を犯人にするための最終仕上げというところか。 証拠品を私の部屋へ運び出しているところだったのだろう。

マックス

何を言っているんだ?

ダニエル

事件の流れを順に説明する。

ダニエル

1日目、 マリン嬢が吸血された。おそらく、薬物で意識が朦朧とした状態になったところを、 私の古い牙で傷をつけたのだろう。 そして、その日、ジル夫人の部屋で私へのメッセージの準備を済ませた。 2日目、 アンヌ嬢の吸血によって、 私が吸血鬼ではないか、という騒動が起こるだろうと目論んでいたのかもしれないが、 それも問題なくクリアした。 そして、私はメッセージを一応は指示通りに残した。 3日目、 私からの返事が予想外で、 出席者の恐怖を煽る必要があったため、マリアンヌ嬢を襲った時、 いかにもモンスターが現れたような惨状を作り上げてみせた。

それを、このマックスがやったのか?

ジョン

ダニエル

いや、実行したのは、そこに隠れているローラだ。

ローラ

ダニエル

一連の事件は吸血鬼Xと名乗る者のしわざ。 吸血鬼Xの目的は何なのか、 犯人は私に脅迫状を送りつけた時点で、私を支配していた。 殺人などではなく、薄気味悪い騒動の主犯、吸血鬼として仕立てること。 それによって誰が得をするのか。 おそらく、犯人はスター家の者ではないだろう。 スクエア家では、ジョナサンが、何か知っている素振りをしていたのは気のせいではあるまい。 だが、彼ほどの権力があれば、私に直接コンタクトを取ってくると思う。

ダニエル

ジョナサンは吸血鬼騒動が起きることを事前に知っていたが、 吸血鬼に脅迫状を送りつけたことを知らないというのは考えられる。 その場合、ジョナサンに近しいものが疑わしい。 犯人が、そのジョナサンと共謀しなかったのは・・・ジョナサンに真実の情報を渡すのは 不利益になると判断したからか、それは分からないが。 ジョセフか、マックスだろう。 しかし、犯行の手口からすると、実行犯は別にいる気がする。

ダニエル

疑わしかったのは、 まず1日目、マリン嬢の返り血が不自然だったのは、 血が犯人のドレスに付着してしまい、ドレスを交換したと考えた。 おそらく、マリン嬢の方はシーツなどで覆っていたが、自分の方に血が飛んできたのだろう。 加えて3日目、マリアンヌ嬢の証言で 壁に縛り付けられて、首筋を噛まれたというが その身長に該当するのは、ローラくらいなものだ。 ローラが犯行したのは、なぜか? 裏で真犯人と繋がっている可能性が高い。 ローラに動機は見当たらないが、脅されているという線はある。 そして、ここにマックスがいるということは、彼が黒幕だろう。

・・・

ローラ

マックス

親父には吸血鬼騒動を起こすと言ってある。 しかし、吸血鬼が本当にいるなんて思っていない。

ダニエル

お前の目的はなんだ?

マックス

吸血鬼の存在を明るみにした俺の存在を世に知らしめるためさ。 その舞台を用意をするはずだったのだが・・・この役立たずのせいで、台無しだ!

ローラが突き飛ばされる。

ダニエル

よかろう。では、どうする?決闘でもしようというのか?

ジョン

(ダニエル、大丈夫か?このままだと収拾がつかないぞ)

マックス

吸血鬼と決闘?面白い。人類で初めて決闘した男になるだろう。

ダニエル

私は何度か他の者とも決闘している。君は結局、二番前じだろう。

マックス

何だと?馬鹿にするのか?

ダニエルとマックスが剣で決闘をし始めた。

ジョン

なんてことだ、結果がどうなっても、朝には大ごとになっているぞ。

ジョン

そういえばローラは?

マックスの剣がダニエルの首めがけて振り下ろされる時、 マックスの背後からローラが首筋に噛み付いた。

マックス

ぎゃ

マックスは首筋から血を吹き出し、息絶えた。

ジョン

なんてことを・・・!

私は、この者に脅されて何年も生きてきました。

ローラ

ダニエル

君はマリーではなのか?

ジョン

え?

そうです。私はジョージ卿の娘でした。幼い時、母の血を分けてもらっていましたが、母は私が小さなうちに他界しました。ある日、私が血を飲んでいる姿をジョージ卿に見られて、関係が悪くなりました。

ローラ

その日から、呪い師が屋敷に出入りするようになりました。 私は、ほとんど軟禁というより、監禁状態下になりましたが、屋敷から抜け出すことに成功しました。 しかし、一人では生きていけないので、屋敷のそばに隠れていました。 ある日、ジョナサン卿が訪れた日、マックスに気づかれ、彼は興味を持って近づいてきました。 彼は食べ物などをジョナサン卿に内緒で分け与えてくれましたが、 私の持っている秘密に関心があったのです。 彼は私を馬車の荷台の後ろに隠して、ジョナサン卿の領内に入り、私は隠れて数年間暮らしていました。 マックスは、いつの時点か分かりませんが、私のことをジョナサン卿に打ち明けていたようでしたが、 私が吸血鬼であることは隠しているようでした。

ローラ

ジョン

吸血鬼に興味があること自体、相当変わっているからな。親も納得しないだろうさ。

ある日、ジョナサン卿からマックスに命じられ、私はこの屋敷の召使になり、それ以来、情報をスクエア家に流す仕事をしておりました。

ローラ

ジョン

スパイということか。

マックスは吸血鬼の情報を集めていました、それはダニエル卿の噂や牙のことにまで及びました。 そして、今回のようなゲームを計画したのです。 親に真実を打ち明けたい事と、自らの能力の誇示したい欲求が動機でした。

ローラ

ダニエル

ジョナサン卿はどこまで知っている。

ジョージ卿が森に出る吸血鬼やモンスターの呪いに不安を抱えているという話があり、その不安につけこんでいたのは間違いありません。 ですが、私たちの事には気づいていないようです。

ローラ

ダニエル

この始末をどうするつもりだ?

全ては吸血鬼が仕組んだこと。 事件の真相を知るものはここにしかおりません。 ジョナサン卿は私を処分するでしょう。 どうするつもりかは分かりません。

ローラ

ダニエル

私なら、何とかしてくれるだろう、と思ったわけか。

前へ 次へ