吸血鬼のゲーム・8
「3日目・2」
4日目の予定であるマリアンヌが襲われてしまった。
ジョージ
マリアンヌ、何が起こった？
吸血鬼に手足を縛られて噛みつかれて、その後、
あたり一面に血のようなものを巻き上げて、どこかへ消えていったの。
マリアンヌ
・・・。
ダニエル
ジョージ
ダニエル、どう思う？
流石にこれは常軌を逸していると思うぞ。奴はやはり本物の吸血鬼では・・・。
これは血ではない。赤い塗料を染み込ませた、ただの水だ。
ダニエル
ジョージ
しかし・・・。
それに気になることが・・・。
ダニエル
ジョージ
何だ？
いや、奴はまだ近くにいるかもしれない。警戒を。
ダニエル
ジョン
ダニエル。どうするんだ？4人目がいなくなっちまったぞ。
これは、おそらく奴も想定外の事だったのかもしれん。
ダニエル
ジョン
どういう事だ？
2日目のアンナ嬢の吸血の出来事が我々を恐怖の支配から解放するものになったからだろう。
ダニエル
ジョン
あれは・・・なんというか苦肉の策だったからな。
おそらく、奴は再び恐怖を呼び戻そうと凄惨な光景を我々に見せた。
ダニエル
ジョン
動揺しているってことか？
もしかすると、次に起こることは予測不能の事態かもしれない。
ダニエル
ジョン
冗談だろ？今晩はどうするつもりだよ。
ダニエル
すまなかったね。忙しいもので声をかけられなくて。
ダニエルさん。一体何が起こっているのですか？
マリー
ダニエル
何も心配することはないよ。
ダニエル
何やら、私に相談があるとかで・・・。
ダニエル
おや？
どうかされました？
マリー
ダニエル
いや、君が小さな頃に会って以来なので、ずいぶん雰囲気が変わったようだね。
そうですか？
マリー
ダニエル
それで？相談というのは・・・。
私が心配しているのは、吸血鬼なんです。
マリー
毎晩、廊下を走る音が聞こえて・・・、さっき、こんな手紙を部屋で見つけて。
マリー
「3日目の血は必要だ。
ダニエルは知っている。
吸血鬼X」
ジョン
どうするんだ？
どうやら、奴にも焦りが見えるな。わざわざ、我々に念押しをするとは。
ダニエル
ちょっといいですか？
ドアをノックしてきたので、我々は彼女を迎えた。
・・・単刀直入に申し上げます。
ローラ
ジョン
な、何でしょう？
あなた方、脅されていますか？
ローラ
ジョン
・・・！
マリーお嬢様の血が必要なんでしょう？吸血鬼Xに脅されて・・・2日前から、もしかすると、ここに来る以前から。
ローラ
ジョン
おい、ダニエル。
ダニエル
・・・仕方ありませんな。
やはり！
ローラ
ジョン
（なんか随分雰囲気が変わったな）
吸血鬼Xは本物の吸血鬼なのですか？
ローラ
ジョン
それはまだ何とも・・・。
本物の吸血鬼を、もし、見たら教えてください！私は、そういう話、興味があって・・・。
ローラ
ジョン
（何だか変な方向に持っていかれたな）
世に出回っている占星術とか超魔術だとかは胡散臭いと思っているんですが、吸血鬼はいるんじゃないか、と！
ローラ
ジョン
・・・。
あ、失礼しました。
ローラ
ジョン
まぁ、気を使わなくてもいいですよ。俺なんて、ダニエルの家来みたいなもんだし。
そうなの？良かった。じゃあ、ジョンでいいかな？
ローラ
ジョン
（何が良かったんだろう）
ダニエル
それで、用事があったのでは？
そ、そうです。私の血を使ってください。
ローラ
ジョン
何？
お嬢様の血を使うなんて、知った以上、許せません。吸血鬼を必ず捕まえてください。
ローラ
ジョン
しかし、吸血鬼にバレたら大変なことに・・・。
どうしてバレるんですか？
ローラ
ジョン
奴は血の匂いが分かる・・・かもしれないじゃないか。
覚悟はできています。
ローラ
ジョン
（いや、俺は覚悟ができていないんだが・・・）
ダニエル
分かった。君の血を使わせてもらう。
ジョン
おい、いいのか？
ダニエル
マリーお嬢様の部屋に犯人の書き置きがあるかもしれない。一緒に探そう。
ダニエル
ただし、口外しないこと、これから行動を共にすること、無茶な行動はこれ以上とらないこと。守れるかね？
もちろんです。
ローラ
ジョン
ここからだと、どこからでも見放題だな。
吸血鬼Xからの指示はホールの像に血のついた布を飾れ、という指示だった。
これでよし、と。
ローラ
ジョン
ダニエル？
ダニエルは険しい顔つきで周囲の気配を探っている。
ジョン
（そうか、もうゲームも終盤なんだな。禁じ手も使ってしまったし）
誰？そこにいるのは・・・。
ローラ
ジョン
何？
ローラが突如、暗闇の中を走り出した。
ダニエル卿、ジョン、犯人がいたかもしれません！
ローラ
ジョン
何だって！？ダニエル、急がないと！
ダニエル
・・・ああ。